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■ 地震、台風、そして熊・・・2004.12月

 最近、日本を直撃するいくつもの台風、新潟県の中越地震と続き、自然の脅威について身近に感じさせられた。
人間が長い間かかって築き上げてきた文明もひとたび自然の力にさらされると、実にあっけなく崩壊してしまう。水道や電気、道路などが破壊されればそこには昔ながらの原始的な生活しかない。文明とは表面の皮のようなもので、その皮がひとたびめくられればたちまち縄文時代に戻ってしまう。人類の文明とはせいぜいそんな程度のものなのだ、という教訓を自然が示したように思える。

もう一つ、自然が人間に与えた「メッセージ」と思えるものがある。

それは、森に棲息する熊が一斉に里へ下りてきて人に危害を加えたことであり、人間と自然との関わり方について深く考えさせられたことだ。

人に危害を加える熊は害獣なのだから射殺するのは当然だ、という意見と、生態系を壊しているのは人間であり、熊を殺すのはかわいそう、という意見が錯綜した。

なぜ熊が人を恐れず里を目指して降りてきたのか、についてはいろんな意見がある。基本的な理由としては、人による自然の開発が進み、熊などの野生動物の生活圏が徐々に狭められている事があげられる。里山が放置され、人間の生活圏と熊などの野生動物の生活圏の境界があいまいになったこともあろう。

熊のエサである木の実が不作だった、という説もある。最近、ハイキングブームで山歩きをする人が増えているが、不用意に熊のエサとなる生ゴミが捨てられているのではないか、とも言われる。

日本では杉などの単一針葉樹の森が多い。杉は春になれば花粉をまき散らし、花粉症の元凶になっている。杉林の下は年中太陽の光が当たらないせいで多様な植物が育たない。従って杉林では生態系が限られており、多様な生き物は棲めない。

ブナ、なら、くぬぎなど多様な木々によって成り立っている雑木林が本来の自然なのである。

汚れた川を再生し、山奥の渓流にまで魚を呼び戻すことも必要である。

日本人の自然観からすれば、もともと熊の住む森は神聖な神の領域として畏敬していたのではないか。

最近「熊野古道」が世界自然遺産に登録されたが「熊」の字がついている。立山を開山した佐伯有頼は手負いの熊を追いかけ、立山に入っていった。その他熊にまつわる伝説は多い。

因みにお隣の韓国の国造り神話によると、古代朝鮮の最初の王、檀君の母方は熊女であったとされている。

また、ヨーロッパの古い町では「町の守護神」が定められているが、スイスの首都ベルンやドイツの首都ベルリンでは熊が町の守護神になっている。(ベルンはドイツ語で熊の意)

人間は古来自然を敬って生活してきた。熊はいわばその畏敬すべき自然のシンボルだったはずである。

私たちは山を歩くとき、熊の生息地を自分が侵入しているのだ、という意識をもとう。そして熊に注意を呼び起こすためにラジオをつけたり鈴を鳴らしたり、大声で歌ったりしよう。それが森の住人、熊に対するエチケットというものだ。

熊の今年の行動は、人間に開発一本槍の公共工事を止めて、もっと自然を保全するための公共工事をすべきだ、ということを示しているのかも知れない。

 
 

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